それは春の日の昼下がり。
都内のとある高校、中庭。

かなた

話って何?

幸也

あのさ、突然なんだけど・・・・・・。

かなた

付き合ってとか言うんじゃないでしょうね?嫌よ。

幸也

お、俺と付き合ってほしい!

幸也

もうフラれてる!?

かなた

あんたも懲りないわね。私には彼氏とかそういうものには興味がないの。

かなた

これまでに5回も告白されて、
本来なら気まずい関係になって然るべきよ。
それを私の慈悲で回避してあげてるのにろくに反省もせずにアンタは・・・・・・。

幸也

そんなに告ったのか、俺・・・・・・。

俺は天地 幸也(あまち さちなり)。高校生だ。
この娘の名前は青空かなた。

俺はこの娘と幼馴染で、物心ついたときから好きだ。
だから告白した。フラれた。

幸也

フラれちゃった・・・・・・。
でも、これからも友達として仲

かなた

アンタその台詞3回目よ。6回中3回言ってるのよ?天気予報なら50%でほぼ雨よ。

かなた

とにかくフラれた人はその日家に帰って枕を濡らすのが道理よ。早く帰りなさい。

幸也

待って!

かなた

帰るわ。

その日の夜

幸也

また今回もフラれてしまった。

幸也

やっぱり思いが伝わってないのだろうか。

幸也

直球過ぎるのもよくないのかな。

幸也

これからどんな顔して会えばいいんだ・・・・・。

遥

あのさ、お兄ちゃん、それいつも頭の中だけで言ってって言ってるよね?
本当に隣の部屋まで聞こえてんの。しかも私ヘッドホンしてたんだけど。

幸也

あぁ、ごめん聞こえてたか、遥。

遥

いやもう慣れてるけどさ・・・・・・。またフラれたんでしょ、かなちゃんに。

幸也

なんでもお見通しだな、遥は。

こいつは遥(はるか)。
俺の妹。趣味は鉛筆削り。

遥

どっちかというとお聞き通しね。
一途なのはいいけど、いい加減かなちゃん諦めなよ。

遥

まぁ、あれだけ告白されてまだ友達でいてあげてるってのも不思議なんだけどね。

幸也

諦めれないよ、本気だから!

熊

よく言った!!!!

幸也

うわぁぁ!!校長!!

遥

校長!!??

遥

いやてか熊!??

幸也

俺の木彫りの熊(修学旅行で買った自分へのお土産)がしゃべった!!!

熊

あぁ、すまん!驚かせてしまったな!

熊

わたしは幸福の天使エルフィー!
これまでずっとこの木彫りの熊に乗り移って君を見てきたのだ!

幸也

ずっと!!!????

熊

本棚上から2段目右から3番目のPS2ソフト!!!!

幸也

なるほど!!!!!

遥

一瞬で意思疎通した!?

熊

幸也、君のそのなんちゃらさんへの本気度、私はこの木彫りの熊から、しかと見届けてきた!!

遥

でも登場人物の名前覚えてない!!

熊

だからこそ、君にはチャンスを与えたい!

幸也

チャンス!!!??

熊

そうだ!
君とその、かなこ?かおりだっけ?

幸也

かなたです熊さん!!!

熊

そう、その子と君を結ばせてやろう!

幸也

本当ですかくまさん!!!

熊

しかし!条件がある!!

幸也

条件・・・・・・!?

熊

「これから1週間以内に、その子に嫌われること」が条件だ!!!

幸也
遥

!!!

熊

嫌われることを厭わない、それほどの愛!

熊

わたしは熊ながらそんなものが存在するのかどうかを確かめてみたいのだ・・・・・・。

遥

あれ、今自分のこと熊って言った?

幸也

な・・・・・・なるほど・・・・・・。

幸也

嫌われてもかまわないほどの愛・・・・・・。

熊

嫌なら断ってくれてもいい。その場合は、
私がまた違う木彫りの熊に行くだけだ。

遥

木彫りの熊限定なの?

幸也

ふ・・・・・・。

幸也

俺を誰だと思ってる!
この天地幸也、かなたと結ばれるために
生きてきた!

幸也

受けてたとう、熊よ!かなたの愛のためなら俺は悪魔にだってなってみせる!

遥

なんかカッコつけて承諾しちゃったよ!

熊

ふ、さすがわたしの見込んだ男。

熊

お前なら必ず嫌われ、
かなたの愛を手に入れることができるだろう。

熊

そしてそろそろ暑いしこの体から出るわ。

熊

ぎょおおおおおおおお!!!!うぎゃやああああうおおおおええええええりいりいええ

遥

よくわからないけど地獄絵図だ!!!

エルフィー

ふぅー 疲れたでらき。

遥

イメージ違っ!!!

エルフィー

久々のシャバの空気は新鮮らっきー。
改めてあちしが幸運の天使エルフィーらき。

遥

なんか微妙に聞いたことあるような口癖ついてる!!!

幸也

それがおぬしの真の姿でござるか・・・・・・。

遥

なんでお前までしゃべり方変えてんだよ!

エルフィー

この姿のあちしは、あなたたち以外には見えないらき。
一応あちしも幸也の味方らきから、適宜サポートするらき。

幸也

それはまことに頼もしいでござるな・・・・・・。

エルフィー

さぁ、今日から一週間以内にその子に嫌われるらきよ。

エルフィー

ちなみにどのくらいかというと親に転校したいってガチで相談させるくらいらき。

遥

程度がリアル!!

幸也

わかった、彼女に嫌われることで
俺の愛を証明してやる!!

幸也

待ってろよ!かなた!!お前の学費の納入先を来期から変えてやるぜ!

遥

嫌な意気込みだ!!

エルフィー

ふふ、がんばるらき。期待しているらきよ。

そんなわけで俺、天地幸也は
1週間以内に嫌われなければならなくなってしまった。
これがまさかとんでもないことのはじまりになるなんて
この時も俺はバカだから気づかなかった。

そのころ・・・・・・。

かなた
かなた

なにかよくわからないけどすごく嫌な予感がするわ・・・・・・。

かなた

とんでもない1週間が始まりそうな気がする・・・・・・。

遥