快

にしても良い天気だなー。

圭

うん。暖かい

入学式に相応しい快晴。
青い空に散りばめられた小さな雲。
見ているだけでも心が落ち着く。

快

……圭、

圭

何?

快

暖かい、よな?

圭

うん

快

ならもう少し離れてくれ。近すぎる

圭

……はーい

通学路はひたすらに住宅街を歩いていく。
道路は広いが、二人で横並びに歩けば通行の邪魔になってしまうだろう。
きっとそこら辺を……考慮したんだよな?

快

あ、そういえば圭、

圭

……なに

半歩分ほど距離を空けた圭が、ぶすっとしながら返事をする。

快

今日、入学生代表の言葉があるよな、大丈夫か?

圭

覚えた通りに話すだけ

快

そ、そうか

それなら……心配いらないか。
そもそもそういうものって、学校側が用意しているんだろうか。
もし圭本人が書いたんだとしたら、おかしなものになる可能性も――

快

そろそろ着くけど緊張してるか?

歩いて十分もしていないのに、校舎が視界に入った。
我ながらいい条件の物件を選んだと思う。
月二万五千円で学校に徒歩十分、最高だ。

圭

してない。
たぶん、しない

快

だろうな

小学生の時こそ、体操着に着替える際よく頬を染めてこっちをみていた圭も、今や年中クールフェイス。
緊張する瞬間なんて想像もできない。

圭

今の方がよっぽど緊張してる

快

ん? 今何かいっt

女生徒

ねぇっ! あれって……!

圭の声が聞こえた気がして確認をしようとしたとき、
ひそひそ話にしては大きい、女子の声が僕の耳に入った。

女生徒

うんっ日浦君だよ!
やばい……本物すごくかっこいい!

女生徒

だねだね!
一緒の高校入れて幸せ~

黄色い歓声は勢いを増す。
懸命に聞き耳を立てる僕と違って、圭は全く気にしていないようだ。
慣れっこなんだろうな。
羨ましい。

女生徒

隣の人もっ…………
……うん、微妙だね

女生徒

そ、そうだね、悪くないけど……微妙、だね

ああ、コレは慣れっこだ。
ぜんっぜん嬉しくないけど。

校門の直前まで歩を進めると、気付く。
多くの生徒がこちらを、彼、日浦圭のことを見ていることに。
圭と僕を較べて、僕が勝っている部分を探すなんて至難の業。
それでも僕は……彼女を作るんだ、今年こそ……!

快

よし、行くぞ圭

圭

うん。到着

こうして僕らは、
多くの人の視線を浴びながら、
浦槇高校に、初めての一歩を踏み込んだ。