壱

・・・・なんじゃ?
ここは。

目覚めるとわしは工場のような作りの部屋の中にいた

壱

ほう!
まるで宇宙船の中のようじゃのう!


わしが興味津々で部屋の中を見ていると、どこからともなくチャイムのようなものが響き渡る

ピンポーンパンポーン♪

ガッ・・・ガガ

壱

?

???

あ・・、あのう。
みなさん起きてますか・・・?

そして、スピーカーから流れてきた声はとてもなよなよしいものじゃった

壱

?
おきとるぞい。

ふつうに返事を返すと声の主はほっと息をつき、再び話し始めた

???

えっとじゃあ今から皆さんにやってもらいたいことを言いますね。

壱

やってもらいたいこと?
突然じゃのう。

???

皆さんには罪を償ってもらいます。

壱

ほ?

???

皆さんは前世で罪を犯しました。
その罪を現世で償うため、贖罪か断罪をしてもらいます。

壱

・・・。

???

贖罪というのはこれから課せられるであろう試練に臨み、その試練をクリアする行為をさします。
次に断罪とは・・恐ろしいですが、贖罪を放棄し、他の罪人を葬っていただくことです。

壱

ふむ。

???

あ、言い忘れていましたがこの空間には八人の罪人が収容されていて、合計八個の鍵が試練の空間に隠されております。
つまり、その試練という名の贖罪をクリアし、鍵を入手することで、この空間から出ることができます。
また、・・・収容されている自分以外の七人のうち誰かを殺すことでもこの空間から出ることはできます。

壱

なるほど。

???

鍵の入手は個人の特技に対応しているので、一人につき一つしか入手する機会はございませんので注意を。
では、みなさんで協力し、贖罪を達成するか、断罪し合うかはみなさん次第。
がんばってくださいね!

プツン・・・

壱

ふむ。
・・・とりあえずどうするかのう。

その声を最後に、スピーカーから流れる声が途切れる

そしてわしはとりあえずあたりを見渡して扉らしきものを見つけた

壱

とりあえず部屋からでるかのう。

しかし、ドアノブに手を伸ばし、回してみるがびくともしない

壱

なんじゃ・・?

ガッ・・・ガガ!!!

???

さっ先ほどぶりです!!!
いきなりですが、贖罪タイムです!!

壱

!


ついさっき流れてきたスピーカーからまた声が流れ、その声を合図に部屋の風貌がどっと変わる

壱

ほっ?

???

名付けて、『犯人はどっちでしょうゲーム』!!!!!

容疑者A

犯人はお前だ!!!
早くその手に握るナイフを離せ!!

容疑者B

いいえ!!
犯人はあなたよ!!!!
そっちこそ早くその手のナイフを離しなさい!!

壱

!?

???

その名の通り、あなたにはこの事件の犯人を当ててもらいます!
ご・・ご覧のとおり、目の前にはナイフを持った二人の男女がいますね。
その二人のどちらかがすでに人を殺した犯人、もう一人がもう間もなく殺されそうになっている被害者です。

壱

推理ゲームかのう?

???

そうとも言えますが、証拠はこの二人しかありません!!

壱

どういうことじゃ?

???

本来推理ゲームというのは事件の経緯やその部屋の証拠品から推理していただくものです。
しかし、これはあなたの今の特技に対応した贖罪ゲーム。

壱

つまり?

???

物的証拠は【一切ありません】し、経緯も【教えません】。
ただ、あなたにはこの二人を見るだけで犯人を当てていただきます。

壱

・・・なるほど。

容疑者A

犯人はお前だ!!!
早くその手に握るナイフを離せ!!

容疑者B

いいえ!!
犯人はあなたよ!!!!
そっちこそ早くその手のナイフを離しなさい!!

???

また、彼らはこのセリフしか言いません。
そこから特技を駆使して当ててください。
推理したのち、犯人だと思った方を・・・こちらの銃で撃って殺してください。

そうスピーカーから流れる声が言うと、地面から銃を置いた台が現れる

壱

・・・・。

???

も・・もし、犯人と被害者を撃ち間違えれば、あなたの体は過去の自分に乗っ取られ、狂うでしょう。

壱

・・・一つ質問をしてもいいかのぅ?

???

ゲ、ゲームの回答に直接関係する質問でなければどうぞ!

壱

わしの今の特技に対応しているということは、そこの男女はきちんと心を持つ人間なんじゃな?

???

はい、もちろんです!

壱

なら平気じゃ!

???

で、では!
ご検討をお祈りします!!

ブツン・・・

壱

さて。

容疑者A

犯人はお前だ!!!
早くその手に握るナイフを離せ!!

容疑者B

いいえ!!
犯人はあなたよ!!!!
そっちこそ早くその手のナイフを離しなさい!!

壱

ちとばかし、心を覗かせてもらうでのう。

容疑者A

俺は犯人じゃない!!!

容疑者B

私は犯人じゃない!!!

壱

!

すぐにすむと思ったが、二人の男女の心を覗かせてもらうと、なんとどちらも同じことを述べていた

壱

一筋縄ではいかないようじゃ。


ふつう、このような状況では犯人は相手をいかに殺そうかと考えているはずなんじゃが・・・



どうやら、『ふつう』が通用しないらしい

壱

・・・・。

ならば
少し頑張るしかない
・・・・・・・・・

壱

疲れるからあまりしたくないのじゃが。

本来、この特技は心を読むだけではない

その心の声が更に
嘘か真か
色で見分けることができる
・・・・・・・・・・・・
のだ

壱

ふっ!

容疑者A

俺は犯人じゃない!!!

容疑者B

私は犯人じゃない!!!

壱

・・・惜しかったのう。

わしはゆっくりと銃を握り、女性に照準を合わせた


壱

・・・・。

鮮血が舞い、女性が倒れる

容疑者A

正解です!!!!!
ありがとうございました!!!!!!

ピンポーンピンポーンと正解のチャイムが鳴り、男性は感謝の念をわしに述べた

そしておもむろに女性の死体に近づき、ズボッと心臓に手を突っ込む

壱

!??

容疑者A

こちらが鍵です!!!

そういうと男性は女性の心臓から取り出した血まみれの鍵をわしに渡してきた

壱

・・・ふむ。

しかし、受け取ろうとした瞬間、突如激しい頭痛に見舞われた

壱

っ・・・!!!!

『ながい鼻』
原題:Die lange Nase

昔、3人の老兵が退役させられました。

3人はこれと言って取り柄も無かったので、今後の生活に困ってしまいました。

そして、老兵達はこれと言って当ても無く歩き、とある森の中へと入りました。

夜、野宿をすると、毎日赤い小人が現われ、見張りで起きていた老兵に不思議なアイテムをくれました。

最初の老兵は何でも願いの叶う古びたマント、次の老兵はお金の無くならない古びた財布、3番目の老兵には吹くと兵隊が集まる古びた角笛が与えられます。

そして老兵達は、マントと財布を使って宮殿に住み豪華な暮らしを始めました。


ある時、老兵達は王子に化けて隣国の王様に会いにいきます。

王様は3人を歓迎し、宴を開きました。

王様には美しい娘がおり、王子達は婚約を申し込みました。

そして、姫は金持ちの2人目の老兵を気に入った振りをして賭け事を始め金を巻き上げ始めました。

しかし、どんなにやってもお金が減らないので魔法の財布に気づき、そっくりな偽の財布とすり替えてしまいます。

3人は宮殿に帰ってくると財布がすり替わっていることに気づきました。

そこで1人目の老兵がマントを使って王宮に忍び込み、財布を返してもらおうとしますが、姫は衛兵を呼び、老兵は慌てて逃げ出しました。

その上、あまりにも慌てていたのでマントを置いてきてしまいます。

アイテムを取り返すために、3人目の老兵は角笛を使って兵隊を集めて、王宮へと向かいました。

しかし、姫は踊り子に化けると敵陣へ入り込み、その美貌でだまし、角笛も奪ってしまいました。

こうして、また何の取り柄も無くなってしまった老兵達は、当ても無い旅に出ました。

3人でいてもしょうがないと、そのうちの1人が別れました。

別れた1人が森を歩いていると、美味しそうなリンゴを見つけました。

そのリンゴを食べると森の外へ出てしまうくらいに鼻が伸び始め、あまりにも長く伸びたので動けなくなってしまいました。

しばらくすると別れた2人が伸びた鼻を見つけ、それを辿ってやってきます。

とりあえず森を出るため2人が鼻を持って歩き始め、美味しそうな梨の木の下で休憩していると、あの赤い小人が現われます。

小人はこの梨を食べると鼻が元に戻ると答え、老兵達が言うとおりにすると鼻は元に戻りました。

さらに赤い小人は続け「鼻の伸びるリンゴを粉にした物と、元に戻す梨を粉にした物を使えば、アイテムを取り返せる。」と3人に助言しました。

さっそく3人は庭師を装って王宮に入り込み、姫にあのリンゴの粉を渡し、「料理にかけるとうまい。」と伝言を残し王宮を出ました。

リンゴの粉をかけて料理を食べた姫の鼻は伸び、直す方法が見つからないので王様は「誰か鼻を治せる者はいないか。」と国中にお触れを出しました。

医者に化けた老兵達は、梨の粉を少し与えて鼻を少し短くし、治せることを王様たちに確認させた後で、リンゴの粉を与えてまた鼻を長くしました。

何故治らないと聞く王と姫に老兵達は「姫が何か盗んだ物があるからではないか?それを返せば治るだろう。」と答えました。
姫は盗んだアイテムを返すことを拒みましたが、王様の説得で返すことを決め、老兵達は梨の粉を与えて姫の鼻を治しました。

そしてアイテムを取り返した老兵達は、また自分たちの宮殿で楽しく暮らしましたとさ。


おしまい

壱

・・・・。


頭の中に流れてきた物語が終わり、はっとすると、そこは元の宇宙船のような部屋に戻っていた

そして、わしの足元には先ほどの血濡れたカギが一つ落ちていた

わしはそれを拾い、じっと見つめる

壱

・・・・モノを盗み、挙句の果てには美貌でだました姫の生まれ変わり・・・。
・・・罪は【色欲】じゃな。

それで性別を取られて、無性、というわけか

壱

・・・さて、この部屋からでるかの。

自分の贖罪を終え、わしが気を取り直してドアに向かおうとすると、奥の方に誰かが倒れているのが見える

漣

・・・・。

壱

あれは・・・?


つづく
 

~罪人リスト~
名前、罪状
童話
特技
 


No.1 漣 強欲
     『青ひげ』
      ???

No.2 馨 憂鬱 
     『子供たちが屠殺ごっこをした話』
      ???

No.3 壱 色欲 
     『ながい鼻』
      心を読み、真贋を色で見分ける(?)

No.4 菖蒲 ???
      『???』
       人形を使った何か(?)

No.5 卓 憤怒
     『鍛冶屋と悪魔』
      千里眼
 
No.6 暁 傲慢
     『夜うぐいすとめくらとかげの話』
      特殊な声を持つ

No.7 椿 怠惰
     『夏の庭と冬の庭』
      水を操ることができる

No.8 ??? 暴食
       『餓死しそうな子供たち』
       ???
 

漣

No.1

馨

No.2

壱

No.3

菖蒲

No.4

卓

No.5

暁

No.6

椿

No.7

由利

No.8

犯人はどっちでしょうゲーム開始につき

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