中間テスト。

それは、生徒がいかなる状況だろうがやってくる行事である。
それが、近年まれにみる序列戦線のさなかであろうとも。

 

千裕

対策できた?

テスト休み時間に千裕から声をかけられた。

絢香

う、うん

千裕

俺、今回そこまで力入れてねーんだよなぁ

絢香

どうして?

千裕

高校一発目のテストだからいい点とりたいけど、泰明がどれくらいで来るのかわかんねーから指針がな

絢香

そういうときこそ自分のできる精いっぱいをやらなきゃ

千裕

じゃあ、絢香は結構やったんだ

絢香

もちろん。全教科一位を取りに行くわ

千裕

……理系苦手だろ

絢香

化学にちょっと手こずった程度よ

会話中に千裕の顔が見れない。

無理。

保健室であんなことした後に、千裕の顔なんて見れない。

もう、最悪よ。

だって、ほら、あたし、泰明のこと好きな時に、千裕に甘えたわけでしょ?
千裕の気持ち知ってんのに、なんでそんな最低なことできたのよ。

謝りたいけど、謝ってもそんなのあたしの自己満足だし、てか、千裕は何も知らないわけだし、はぁ、中学生に戻りたい。

牧

絢香ちゃーん

匠

あやかー

一人でぐるぐるしてると、牧と匠が寄ってきた。

泣きそうになりながら。

絢香

どうしたの?

牧

分かんないの

絢香

何が

牧

次の数学のテスト範囲

匠

俺も―

悲しそうな顔をしながらノートを持ってきてるけど、あと5分もないからね、休み時間。

なんでもっと早くに聞きに来ないかなぁ、と考えつつも、ノートを借りて3つの公式に〇を付ける。

絢香

はい

牧

なにこれ

絢香

どの公式使うかわかんなくなったら、これ。それで、3つ以上の時がこれ。で、先生が好きな公式がこれ

二人はありがとうといって席に戻った。

せめて1時間あればちゃんと理解できるまで教えてあげられるのに。

そういえば拓也は何やってるのだろうと首を回すと、他の生徒同様に真剣に教科書に目を落としている。

絢香

やる気がみなぎってるわ

千裕

俺拓也にまで負けたくねーな

絢香

じゃあ、勉強しなさいよ

千裕

もうやることはやってんだよ

絢香

そう

千裕

……最近俺に冷たくね?

絢香

え?あ、い、いやぁ、その、ねぇ?

千裕

なんだよそれ

絢香

ほら!先生来るから席に戻んなよ!ね?

千裕

まだ来る時間じゃ……わかったよ

千裕はしぶしぶ席に戻っていった。

クラス中がテストに集中している時期。

いじめも緩くなっていて、それについてはホッとしているけれど、それと同時に、このストレスがテスト後に爆発するのかと思うと、あたしの心は穏やかじゃなかった。

テストが終わった放課後、あたしは、先生に職員室に呼び出されていた。

内容は、一部生徒があたしがカンニングをした現場を見たという話しだった。

先生は、形式だけで全然疑ってないと言ってくれた。

それで職員室から出てくると、外で待っていた牧になんの話だったのかを聞かれた。

ありのまま告げると、牧は首をかしげた。

牧

絢香ちゃんって一番後ろだよね、席

絢香

そうだね

牧

じゃあ、そのみたって子は、どうやってみたの?

絢香

さあ?後ろに目でもついてたんじゃない?

牧

……誰が話してるのか調べようか?

絢香

一応、調べてもらっていい?

牧

いーよー。明日から2日休みだし。週明けにはわかるはず

絢香

そこまで急いでないよ

牧

絢香ちゃん。それがいけない

絢香

え?

靴箱まで行くと、テスト期間明けで部活出来るはずなのに、みんながいた。

声をかけると、今日は作戦会議をすると宣言された。

絢香

なんの作戦会議よ

牧

より良い未来のための作戦会議よ

牧

改善点と今後の課題をしっかりと見きわめなきゃ

千裕

外だとどこに何があるかわかんねーから、絢香の家でやるぞ

絢香

えー、突然来られてもなんの用意もないよー

拓也

何も用意しなくていいよ。ぶっちゃけテスト終わりの打ち上げだから

絢香

あ、それなら全然いいや

家に帰るまでにお菓子とジュースを買った。

家につくと玄関のドアが開いていた。

千裕

……絢香さぁ、おばさん今日来るの?

絢香

いやぁ、百歩譲ってお母さんだとして、どうして玄関を開けるのかっていう問題があるよね

拓也

警察呼ぶ?

千裕

一応、警察呼ぼうぜ

匠

千裕中のぞいてきてよ

千裕

……高校生相手なら勝てるかもだけど、大人だったら無理だろ

絢香

じゃあ、私が見てくる

千裕

待て待て待て待て、俺が行ってくるよ

拓也

じゃあ、僕警察に連絡ねー

匠

じゃあ、オレここで女子を守る

千裕

なんで俺だけ怪我する確率たけぇんだよ

ぶつぶつ文句を言いつつも、なんだかんだで部屋の中に千裕は入っていった。

34時間目:衝撃の事実(1)

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