ひかり

ねぇねぇ、かえちゃんはどの子が好きー?

楓

みなさんかわいいとおもいますが

ひかり

その中でもタイプの子だってばー!

いつものように楓を後ろから抱っこしながら、ファッション誌のスナップを見ているひかり

ひかり

じゃあさ、それぞれタイプの子を一斉に指さそうよ! ね? ね?

楓

はあ

ひかり

じゃ、いくよ? ……せーの!

ひかり

この子ー! ……ってわたしだけかーい! たっはー!

ひかり

んねーぇ、かえちゃんもやってよー! つれないなぁ

ひかり

そういうところも好きだけどー! んぎゅー!

楓

ひかりさん。まえから気になっていたのですが

ひかり

ん? なになに?

楓

ひかりさんはおんなのこがすきなのですか?

ひかり

女の子が好き? んーそうだなぁ……

ひかり

てっへへ、好きだよ!

楓

やはり

ひかり

だってかわいい子見てると幸せになるじゃん! 癒されるじゃん!

楓

では、ひかりさんはかわいい人ならだれでもよいのですか

ひかり

え?

楓

かわいければだれでもよいのですか、と

ひかり

かえちゃん……もしかして嫉妬? 嫉妬かな!?

楓

していません

ひかり

わー! かえちゃんが嫉妬してる! かわいい! 抱きしめたい!

楓

ごかいですが。あともう抱きしめられてますが

ひかり

でも大丈ー夫! わたしはかえちゃんがいっちばーん好きだからね!

*    *    *

唯

ごくり……。あ、あやしいとは思ってたけど……

唯

ひかりは女の子が好きなんだ……

唯

思えば、ひかりはいつも楓にべったりだし、学校でも見るたび女の子に囲まれてる

唯

ボディタッチも多い気がするし……!

唯

ど、どうしようこれから……。う、ううん、どうしようってこともないんだけど……

唯

そうだよ。うん。いつも通りに振る舞えばいいよね。ひかりはひかりだもんね

唯

そうそう。何も変わらないよ。うん。何も変わらない……

唯

うん……

*    *    *

――後日。

ひかり

あ、唯ちゃーん! おはよー!

唯

ひ、ひかり……!

唯

お、おはよう……

ひかり

うん! ねえねえ、唯ちゃん。今日ってこれから忙しい?

唯

え? 別に、今買い物から帰ってきたところだから何もないけど?

ひかり

じゃあ唯ちゃんち行ってもいーい?

唯

……え?

*    *    *

唯

ど、どうしよう……。ひかりが、わたしの部屋に……?

*    *    *

ひかり

わー! かわいいお部屋ー! 意外だって言われない?

唯

う、うん、でもあんまりわたしの部屋にくる人いないから……。空子くらいかな

ひかり

そうなんだー。じゃあわたしは二番目の女だね!

唯

に、二番目の女……!? や、べ、別にそんな、空子とわたしはそういう関係じゃっ……

ひかり

そういう関係……? ってなにが?

唯

え? う、ううん、何でもない……

ひかり

ふーん

ひかり

ねぇ唯ちゃん? 何か自分の部屋なのにさっきから落ち着かないね? どうしたの?

唯

え? そ、そう? そんなことないよ……?

ひかり

まるでわたしの方がリラックスしちゃってるみたい。あはは

ひかり

よーし、じゃあ思い切って……たーーーっ!!

唯

ちょ、ちょっとひかりっ?

ひかり

んー! 唯ちゃんのベッドもふもふで気持ちいいー! いい匂いするー!

唯

あ、あわわ……

ひかり

くんくんくんくん!

唯

あ、あわ、あわわわ……

唯

ひ、ひかりったら……!

ひかり

あれ、唯ちゃん? ……えっと、わたしまずかった、かな……?

唯

あ、いや、べ、別にまずくはない、けど……。と、友達だし

ひかり

ほんと? よかったー! じゃあもっともふもふしよー! 唯ちゃんの匂い、わたし好きだなー!

唯

わ、わたしの匂い……好きなんだ……

ひかり

うん! 唯ちゃんはどう?

唯

わたし? わたしはその、自分の匂いはよくわからないし……

ひかり

そうじゃなくて! わたしの匂いはどうかなって

唯

ひ、ひひっ、ひかりの匂いっ?

ひかり

うん。こないだシャンプー変えてみたんだ。どうかな?

唯

ど、どうって……! わ、わかんないよ

ひかり

ほら、唯ちゃん。こっちきて嗅いでみて? ほら、ぐいーっ!

唯

ひゃっ! ひ、ひかり……強引だよ……

ひかり

はい。髪の匂い嗅いでみて?

唯

……ち、近いよ……。ひかり……

ひかり

えー? 近くなくちゃ髪の匂い嗅げないじゃん

唯

そう……だけど……

ひかり

ね、どうどう? いい匂いする?

唯

(すんすん)……あ、うん、すごくいい匂い……!

唯

なんだか……わからないけど、どきどきする……

唯

って、いや! わたし何言ってんだろ……?

ひかり

本当? ちょっとオトナっぽい匂いにしてみて、自分に合うかなーって不安だったからよかったー!

唯

う、うん、合ってると……思うよ

ひかり

えへへ……。なーんか嬉しいなー。へへへー……

唯

な、何? そんなにじろじろわたしを見て……?

ひかり

こうして唯ちゃんとお部屋で二人っきりでいることが嬉しいなーって

唯

わたしの部屋で……ふ、二人っきり……!

ひかり

よいしょっと。ぴとっ

唯

ひゃっ!?

ひかり

あ、唯ちゃんって二の腕ひんやりしてるんだね。気持ちいいー

唯

ひ、ひかり、そんな、急に触らないで……っ

ひかり

えー? いいじゃん。わたしたちの仲だし

唯

わたしたちの……なか、な、仲っ……!?

ひかり

うん、そう。わたしたちの仲

唯

……

ひかり

……

ひかり

……ねぇ唯ちゃん?

唯

……は、はい

ひかり

ぎゅってしていい?

唯

ふぇっ!? ど、ど、どうしてっ!?

唯

ふ、ふたりきりのへへ、部屋でっ! うら若き女子が、せ、正当な理由もなくぎゅぎゅ、ぎゅっていうのはっ……そのっ……!

ひかり

えいっ!

唯

ひゃぁぁぁあああっ!

唯

わわ、ひ、ひかり……だ、ダメだよっ……!

ひかり

……ほっとするなぁ

唯

え?

唯

ひかり? ……どうしたの?

ひかり

わたしさ、いつも元気に見られるけど、本当はそうでもないんだ

ひかり

つまらないことで怒ったりするし、悩んだりもするし、疲れたときにはぐたーってしちゃう。たぶん強い子じゃないんだろうな

ひかり

だからこうやって誰かにくっついてるとほっとする

ひかり

かえちゃんを抱っこしながら、本当はわたしが安心してるのかも。……秘密だよ?

唯

うん……

ひかり

初めてアイドルの世界に飛び込んでみて、わからないことがいっぱいだった。こんなに大変だなんて思わなかった

ひかり

……留奈ちゃんにはいつも怒られるしー

唯

留奈はまじめだもんね

ひかり

だから、同じ事務所で、同じ学校に通ってる唯ちゃんがいてよかったなって

ひかり

安心する

唯

……ひかり、悩んでるの?

ひかり

ううん? へーき。大変だけど、アイドルは楽しいもん!

唯

そっか……。よかった

ひかり

きっとプロデューサーや、みんなや、唯ちゃんのおかげだよ。みんながいるからわたしは頑張れる

唯

ひかり……。わたし……何勘違いしてたんだろ……

ひかり

唯ちゃん?

唯

ごめんっ! ひかりっっ!

ひかり

唯ちゃんっ!? きゅ、急に土下座!? なにごとっ!?

唯

すいませんでしたっ!!

ひかり

だからなんで!?

ひかり

……もう、わけがわかんないや

ひかり

でも、やっぱり誰かと一緒は楽しいな

ひかり

これからもよろしくね! 唯ちゃん!