玄奘

あらあら、あたしの最高傑作の剣が折れるなんて余程の手練れね!

花蓮

・・・。

花蓮の顔をキュウリまみれにしながら、煌炎の剣を見て驚く。

賽

これを折った主は青森県の鎌鼬です。

玄奘

あの咲夜ちゃんが!?
おかしいわね、あんたと相対するほど悪い子じゃないのよ!?

煌炎

・・・咲夜ちゃん?
相手は男だったぞ。

玄奘

・・・もしかして息子の那切君かしら?
いったい何が・・・。

煌炎

自分の守護する方位の奴だぞ。
なんでしっかり監督してねーんだよ。

玄奘

それは素直に謝罪するわ。
あたしはここを離れることができないから他県のことは水面鏡で観察してるんだけど、ここ最近何者かの妨害が入ってうまく機能しないのよ。
それを調査中なの。

賽

・・・何者かの妨害・・・、幕府の可能性が高いですね。

煌炎

所詮言い訳に過ぎねーよ。
兄貴がもっとしっかりしとけば、犠牲が出ずに済んだんだ。

玄奘

・・・もしかして。

煌炎

・・・あぁ、鎌鼬の野郎はもう死んだよ。
母親もすでに亡くなってたみてぇだ。

玄奘

・・・・そう。
あの那切君がそこまで暴走していたのね。
咲夜ちゃんの訃報も知らなかったわ。

煌炎

とにかくこれまで以上に今は監視を行き届かせた方がいい。
剣を直してもらうついでに水面鏡の件、俺も協力すっから。

玄奘

・・・本当、弟に叱責されてここまで言われちゃ兄失格ね。
協力、恥を忍んで是非ともお願いするわ。

エト

玄奘様!!!
水面鏡に張った結界に何者かが侵入した形跡が!!!
・・・っと、煌炎と賽様!!
あと・・・どなたですか?

花蓮

!

玄奘

エトちゃん、行儀がなってないわよ。
相手の名前を聞く時は自分が先に名乗らなきゃね。

エト

あぁ!!
大変失礼いたしました!!!
僕は玄奘様にお仕えしている魚人族のエトと申します。

花蓮

はじめまして、天衣家の長女の花蓮よ。
・・・キュウリまみれで申し訳ないけど宜しくね。

エト

てっきりキュウリ妖怪の先祖返りの方かと思いましたが、天衣家のお嬢さんだったんですね。

花蓮

キュウリ妖怪・・・じゃなくて家を知ってるの?

エト

各県の名家の方々は諳んじております!
一人前の男はこれぐらいできないと・・・じゃなかった、玄奘様早く来てください!!セトラと母が待ってます。

玄奘

そうだったわね、急いで向かいましょう。

セトラ

エト、遅いデス!!
何道草食ってたデスか!!

ママ

ちゃんと玄奘様は呼んできた?

エト

ねぇさん、母さん。
遅くなったけどちゃんと連れてきたよ。
煌炎様がおこしになってて、取込み中だったんだ。

煌炎

よぉ。

セトラ

煌炎様!!??
来るとわかっていたならもっとおめかししていたのに・・・お久ぶりデス!

賽

ちなみに彼女も煌炎様の追っかけの一人ですね。
以前沖縄の海で怪我していたところを助けられたんです。

花蓮

え・・・ここにもライバルが・・・!!

花蓮がそう発した瞬間、セトラと目が合う。

そして何かを感じ取ったのか、両者一歩も引かないにらににらみ合いが始まった。

ママ

こら、威嚇しないのセトラ。
きちんとご挨拶しなさい。

セトラ

ママ!!
だってこいつ・・・。

ママ

セトラ。

セトラ

う・・・・、はい。

先ほどまで花蓮を睨みつけていたセトラだったが、唇を噛みしめながらしっかりとした所作でお辞儀をする。

セトラ

玄奘様にお仕えしている魚人族のセトラと申しマス。

ママ

私はこの二人のおもり役のただの魚ですわ。
私のことは空気とでも思っておいてくださいな。

花蓮

あ、天衣花蓮です。
よろしく。

玄奘

さてさて対面式も終わったみたいだし、結界への侵入の形跡を見せてほしいわ。

セトラ

はい、これデス。

玄奘

・・・これは・・・。

煌炎

タコの・・・足?