圭

……

快

………………Zzz……

快は、本気で馬鹿だと想う。

さっきまで二時間掛けてチェスをして、
負けた俺が言うのはどうもおかしいけど、
快は馬鹿だ。

時間を忘れてチェスに打ち込んだ結果、
かなり遅い時間になった。
家はそう遠くないけど、
「もう帰るのが面倒臭い」と伝えると、
「そうか、なら泊まるか?」なんて、
二言返事で。

圭

快……

風呂には先に入らせてもらったからわかるけど、
鍵が壊れていた。
不用心過ぎる。

快

今日は何にもないから卵かけご飯だ

快

圭、醤油をとってくれ

快

にしても春野さんは……一体なんだったんだろうな

一つ一つ。
圭の表情なら全て思い出せる。
瞼を閉じる必要なんてない。

快

くーかー……

圭

ふふっ

ああ、本当に馬鹿だ、快は。

どうして今日、
自分に告白をした男の前で、
こうもすやすやと眠れるのか。
俺にはわからない。

圭

快、起きてる?

快

ん~……起きてる起きゅてゅる……

爆睡。
経験則から、眠った快はしばらく起きない。

俺は快のベッドで寝させてもらっていて、
快は客人用の布団で寝てくれている。

だから、寝顔がよく見える。

眼鏡をはずしたその顔が。

圭

はぁ……

いろいろな感情が綯い交ぜになって、
結局は怒りに落ち着こうとする。

どうして、
どうして快は、

もっとしっかり俺を
突き放してくれないんだろう

俺は……俺は今、無防備な快に、
なんでもできる。

なんでもできてしまうんだ。

腕を縛って抵抗出来なくして。

スベテを奪って、脅して、逃げられなくして。

俺は、全部出来るんだ。

だけど……

快

んんむ………………

出来るわけが、ない。

俺がするべきことは、
俺がしたいことは、
快を幸せにすること。

ずっと一緒にいること。
離れないで、
一番仲のいい友達であり続けること。

たったそれだけ。

なのに、今日、気持ちを伝えてしまった。

こうなると……わかっていたに。

春野は、快に惚れている。
俺とは名前を間違えただけだ。

やっとそういう人が現れたんだ。
快の魅力が分かる女子が現れたんだ。
俺が妨害する権利なんてなかったのに。


必死になって邪魔して……馬鹿みたいだったな。

圭

快……

圭

その寝顔に誓うよ

本当に好きな人とは、
一生繋がっていたい。

一緒になって、
いつか、
離ればなれになるくらいなら。

たとえ一つにはなれなくても、

ずっと、このままで。