花火の音がする

耳障りだ
早くこの音を止めろ

優

一体何なんだよ!
父さんまで!

父さん

優、良く聞きなさい。
優は父さんに従っていればいいんだ
わかったね?

優

…はい
父さん…

昔父さんに言われた言葉が脳裏をよぎった

由美

ゆうちゃん…
あの子…

女の子はこちらへ不安定な足取りで近づいてくる

???

…貴方の名前を教…えて…

吸い込まれそうな瞳に
俺はしばらく呆然としていた

由美

……ちゃん…
…ゆうちゃん!

優

あぁ、悪い。
ぼーっとしちまって…さ

そういえば名前を聞かれているのだった
他の事で頭がいっぱいになっていて
忘れてしまうところだった

優

俺は優 こっちは俺の姉貴の由美だ

由美

由美だよ!
よろしくね!

???

そう…
いい…名前ね…

優

まぁ、それは母さんに感謝だな…
そっちは

母さん…
嫌なことを思い出す前に俺は話を変えた。

???

な…まえ…?
…忘れちゃった

この子…
さっきから何かがおかしい…
見た目や年と挙動が一致してないような…

父さん

優、由美そろそろ行こうか
長老様に怒られてしまうよ

由美

う、うん

そう言ってその少女の話を聞けぬまま
俺たちは祭りは会場へ急いだ。

???

ゆうくんか……

そうこうしてるうちに祭りの主となるところ
つまり島の中心だ。

長老

遅かったのう
待ちくたびれたぞ

父さん

いやぁすいません
もう、始まっちゃいましたか??

優

父さん…

長老

大丈夫じゃよ
主役が来ないと祭りは始まらんからの

「主役が来ないと祭りは始まらない」
このフレーズ…
主役…祭り…

…俺の予測が正しいのであれば
もしかしたら…俺は…俺たちは……

父さん

あぁ、言い忘れていたが
今回の祭りで由美たちは指名されるんだ。

俺は一瞬理解が出来なかったが
不思議と体は勝手に動き出していた。

優

由美姉!

由美

え、ちょ、ゆうちゃん!?

俺は姉貴の手を取り夢中で
石段を蹴った。ただ走った。
いや、走らなければならなかった。

優

くそ…
どうなってんだ…!

雪

きゃっ

誰かにぶつかった
こんなときに!!

優

悪い!
急いでて…

由美

ちょっと!ゆうちゃん!
なんで急に走るの!?

優

そうしなきゃ俺たちは…
奴隷になってたんだぞ?!

由美

じょ、冗談はやめてよ…
ね?ゆうちゃん…

雪

あの…
一体何が…

優

…こっちの話だ
さっきは悪かったな
ほら、行くぞ姉貴

由美

ゆうちゃん!
っ痛…

姉貴は表情を歪めた。

優

ど、どうしたんだよ

由美

さっきの石段で足を…

どうやら足をくじいてしまったみたいだ

雪

あの、よかったら僕の家近くなので
手当しましょうか…?

優

…そうさせてもらえると助かる

雪

じゃあ、着いてきて下さい!!

少年(?)は嬉しそうに手招きをしている。

優

姉貴…
とりあえずはあの子んちでお世話になろう

由美

うん…
あと、優ちゃん

優

ん?
どうした?

姉貴は頬を赤らめながらこっちを見ている。

由美

おんぶ…して…?

優

…わかったよ
ほら…

そういうと姉貴は嬉しそうにおぶられた

雪

ほら!
早くしないと置いてきますよー!

優

あ、あぁ!
すぐ行く!

そう言って俺は少年(?)の元へ急いだ。