郵便局員A

俺はどこにでもいる
平凡な郵便局員だ

郵便局員A

この物語に出てくる解説は
すべて個人の見解であり、
日本郵便(株)様の
公式見解ではないということを
覚えておいてくれ

 
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客

すいませーん

郵便局員A

いらっしゃいませ。
……って、お前か

客

これ出したいんですけどー

郵便局員A

んんっ?

客

どうかした?

郵便局員A

あて先らしき住所と名前は
書かれているものの、
裏面に差出人の住所と
思しき物が無い……

客

サシダシニンって何?

郵便局員A

お前のことだ。
今、この郵便物を
差し出しただろう。
郵便を発送する人、
それを差出人という

客

へえー。
俺の住所を書かないと
配達してくれないの?

郵便局員A

いや、窓口で引き受けることも、
配達をすることもできる。
ただ、万が一の事態に備えて
差出人の住所を書くことを
推奨しているのだ

客

書かなくてもいいなら、
このまま出す

郵便局員A

いや、万が一の事態というのが
何なのか? など
気になったりしないのか?

客

気にならない

郵便局員A

少しは将来を見通して
生きてくれ

客

郵便一通出すだけで
将来の心配をされても

郵便局員A

あのな……。
この郵便物が、
何らかの理由で先方に
届けられなかったとするだろ?

客

何らかの理由とは

郵便局員A

例えば、先方が前世からの因縁で
お前を憎んでおり、
受け取り拒否をするとか

客

思ったよりスピリチュアルな
理由だった

郵便局員A

もしくはお前はアホなので
住所や名前を
書き間違っていたとか、
お前がアホなことに呆れて
あて先の人が転居していたとか

客

あて先の人が引っ越すのも
俺側の問題なの?

郵便局員A

その他にも様々な理由で
郵便を届けられない事は
多々ある

郵便局員A

そんな時は郵便物を差出人へ
返すしかないわけだが……。
差出人の住所が書かれていないと、
どうなると思う?

客

ヤギさんが食べちゃうと思う

郵便局員A

その通りだ、ヤギならな。
しかし、配達をしているのは
ヤギではなく人間だ

郵便局員A

配達を担当している郵便局の
判断によっては、
郵便物を破棄することもある

客

それはもったいない

郵便局員A

そうだろう?
そう思うのならば、
差出人の住所を書くことだな

客

おかのした!
※わかりましたの意

客

はい、書けた

郵便局員A

やればできるじゃないか。
じゃあ、こちらに切手を貼って
……っと

客

ちょっとちょっと。
なんで俺の住所の横に
切手を貼ってんの?

郵便局員A

はああああ?!
いま見せてきた面が
あて先じゃないのか?!

客

あて先の住所は、
その裏側に書いた方だけど。
あて名の下に『様』って
書いてるじゃん。
よく見てよ

↑
これがあて先

↑
これが差出人

郵便局員A

バカモノがっっ!
差出人の住所は小さく書け!
これではお前の家に
戻ってきてしまうぞ!

客

あんたが切手を貼る場所を
間違えなきゃいいんじゃねーか

郵便局員A

いいや!
俺は間違っていない!
このまま、この位置に
切手を貼ったまま、
この郵便を出す!!!

郵便局員B

落ち着きなさい

郵便局員A

頭を叩くなと言っているだろう!
パワハラで訴えるぞ!

郵便局員B

お客様、大変失礼いたしました。
今すぐ切手を貼り直します

客

いつになったら
出てくるんだろうと思ってました

郵便局員B

お客様が先ほどおっしゃった通り、
私どもにもあて先の住所がどちらの面に
書かれているかを確認してから
切手を貼る義務はあります

郵便局員B

ですが、人間の心理として
大きく書かれた文字には
自然と目が行ってしまうのです

郵便局員A

別にいやらしい気持ちで
見てるわけじゃないのに、
どうしても巨乳に目が行ってしまう
理屈と同じだな

客

例えがゲスい

郵便局員B

窓口であて先の住所の方に
切手を貼ったとしても、
配達を担当している郵便局にて
どちらが正しいあて先か
わからなくなる事もあります

郵便局員B

ですので、あて先の住所を
より目立つように書いていただき、
差出人様の住所はささやかに
書いていただけると助かります

郵便局員A

ささやかに……
そう、なんでもデカければ
いいと言うわけではない。
貧乳には貧乳の良さがあるんだ

郵便局員B

さっきからすごく
うるさいんだけど。
セクハラで訴えるわよ

客

パワハラVSセクハラ……。
郵便局の闇を垣間見た

 
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──翌日。


郵便局員A

よーし!
時計の針は16時59分を指している!
シャッターを下ろすぞ!!

郵便局員B

1分早いわよ

郵便局員A

フッ……。
この残りわずかな時間で、
郵便局に入ってくる人間もいるまい

客

間に合ったあああ!
滑り込みセーフ!

郵便局員A

貴様ッッッ!
午後5時までに局内に入れば、
客を追い出す事はできないと
知っての狼藉(ろうぜき)か!?

客

いや知らんけど、
どうしても今日中に
出したい物があってさ

郵便局員B

ふう……仕方ないわね。
郵便局員Aくん、
ご用件をお伺いしてちょうだい

郵便局員A

この俺が!?
なぜ!?

郵便局員B

私は今日お預かりした郵便物を
担当の人に引き渡す準備を
するから。
よろしくね

郵便局員A

チッ、仕方ないな

郵便局員A

おい、そこの小僧。
俺が残業になるかは、お前次第だ。
とっとと用件を言え

客

この、こんもりと盛り上がった
郵便物を出したいんだけど。
普通郵便の定形外で

郵便局員A

ふむ……。
厚みが3センチを超えているな。
これは規格外だ

客

規格外!?
郵便局の規格に合ってないから
引き受けてくれないってこと!?

郵便局員A

引き受けないとは
言っていないだろう。
規格外と言っただけだ

客

???

客

よくわかんないけど、
じゃあ料金を教えてよ

郵便局員A

100グラム以内だから、
220円だ。
※令和3年現在の料金です

客

えっ。
高くねえ?

郵便局員A

高くない。
むしろ300円足らずで全国各地
どこでも配達してくれるなんて、
安いくらいだと俺は思っている

客

いやそうじゃなくて、
この前は100グラム以内で
140円だった気がするんだけど?
※令和3年現在の料金です

郵便局員A

それは夢だ。幻だ。
すべて忘れろ

客

ひょっとしてさっき言ってた、
『規格外』って言葉が
関係ある?

郵便局員A

チィッ!
そこに気づいてしまったか!

郵便局員B

あなた残業したくないんじゃ
なかったの?
早く説明して
早く終わらせなさいよ

郵便局員A

すまん。
5時ギリギリに滑り込んでくる
この小僧にむかついて、
つい意地悪をしてしまった

客

すいません。
次からは時間に余裕を持って来ます

郵便局員A

では説明しよう。
定形外郵便物には2種類あり、
規格内と規格外がある

郵便局員A

規格内は、長辺34センチ以内、
短辺25センチ以内、
厚さ3センチ以内、
および1kg以内としている

客

あ、つまり……。
俺がこの間持って来た郵便物は
厚さが3センチより薄かったから、
規格内で140円だったのか。
※令和3年現在の料金です

郵便局員A

そういうことだな。
今回は規格サイズを超えているので、
規格外の料金で220円というわけだ。
※令和3年現在の料金です

客

なるほど。
じゃあ220円払うよ

チャリ…

郵便局員A

丁度ですね!
あーがとーっ!
ざっしたーっ!
※ありがとうございましたの意

郵便局員B

ありがとうございました。
※感謝の意

客

よろたの
※何卒よろしくお頼み申すの意

郵便局員B

帰ったわね……。
これでやっと局を閉められるわ

郵便局員A

よし、決めた!
明日は一時間前に
シャッターを下ろすぞ!!

郵便局員B

やめなさい

2通目 普通郵便を出そう・その2

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